先日、「料理宅配サービス最大手の日本法人が、不法在留の外国人を働かせたことにより、書類送検された。」という報道がありました。同社の配達員は、個人事業主扱いとされており、労働者ではないという建前のため、労務管理の対象とされておらず、最低賃金の適用もありません。労災保険法の適用労働者でもないため、例え配達中に事故にあったとしても、公的補償は一切ありません。今回の書類送検に関しても、仮に労働者として外国人を雇うのであれば当然行うべき在留期間のチェックを怠っていたことによります。
数ヶ月ほど前イギリスでは、これらの配達員(運転手)は「自営業者」ではなく「就労者※」である、という最高裁判決が下されました。(※ただし、イギリスでいう「就労者」はいわゆる労働者とは若干異なり、日本でいうところの「労働者」と「自営業者」の中間くらいの位置づけです。)報道によると、この判決により「運転手は最低賃金以上の報酬や有給休暇が保証され、年金制度への加入にも道が開けることになった。同社は最高裁判断を受け、3月半ば、英国内に約7万人いる運転手の待遇を改善する具体策を発表した。」とのこと。
こういった一連の動きの中で、日本においても早い時期に、いわゆるギグワーカーと労働者の明確な区分・取扱等に関する議論が本格化してくるものと思われます。また、先のイギリスの例のような第三の区分が生まれるかもしれません。こういった改革は一旦始まれば加速度的にスピードを増して進みます。実際に労災の特別加入も9月から始まります。その他労働関係諸法令の大改正も想定されますし、雇用環境・雇用情勢にも大きく影響することも十分に考えられますので少なくとも気持ちの準備は必要かもしれません。