労働時間を判断しにくい、労務管理が困難である、などの理由で労働契約ではなく業務委託契約を締結して働いてもらうというケースが多く見られますが、その契約が労働契約か業務委託契約なのかは、締結されている契約の名称にかかわらず実態で判断されます。労働基準法第9条では以下のように労働者を定義しています。『…「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者…』。この条文の解釈を元に、厚生労働省では、(労働者性の)判断基準を次のように示しています。
1 使用従属性に関する判断基準
(1)指揮監督下の労働
①仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
②業務遂行上の指揮監督の有無 ③拘束性の有無 ④代替性の有無
(2)報酬の労務対償性
2 労働者性の判断を補強する要素
(1)事業者性の有無 ①機械、器具の負担関係、②報酬の額 (2)専属性の程度 (3)その他
※1・2を総合的に勘案することで、個別具体的に判断する。
上述の判断基準の中でも、実際の現場で特に重要視すべきなのは、1-(1)の②、③と考えられます。使用者側がいくら業務委託であると言っても、実態として使用者の指揮命令下にあり、時間や場所が拘束されていれば、それは『労働契約』であるとみなされることがあるので、注意が必要です。