Q:従業員に年次有給休暇のことを聞かれてもうまく答えられません。年次有給休暇制度について教えてください。
A:昨今、年次有給休暇で頭を痛めている事業主の方々がとても多いように見受けられます。年次有給休暇制度の概要と、その運用について整理しました。
年次有給休暇とは、法律(労働基準法第39条)で定められた労働者の権利で、厚生労働省では、次のように目的を定義しています。「年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のこと…」。政府は、2025年度までに有給休暇取得率70%を目標としています。
年次有給休暇は、雇い入れの日から6か月継続勤務し、その間の出勤率が8割以上である労働者に(自動的に)付与され、その後も1年ごとに付与されていきます。付与日数は勤続年数に応じて増加します。(具体的な付与日数は下図参照。)年次有給休暇の時効は付与日から2年です。
年次有給休暇は読んで字のごとく、休暇期間中も賃金が支払われます。年次有給休暇を取得した日、期間については、就業規則等の定めにより、平均賃金、通常の賃金又は労使協定に基づく健康保険法上の標準報酬日額相当額を支払う必要があります。(年次有給休暇中の賃金については法改正予定。 )
取得時季は、原則として、労働者が指定できます(時季指定権)が、請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げると具体的・客観的に判断される場合は、例外的に使用者は時季を変更することができます(時季変更権)。つまり、使用者が年次有給休暇を取得させないことはできませんが、いつ取得するかについては注文をつけることができます。ちなみに、年次有給休暇を取得したことにより、その労働者にとって不利益な取り扱いをすることは禁じられています。
平成31年4月から、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、使用者は毎年5日間の年次有給休暇を確実に取得させることが義務付けられました。それとは別に、労使協定を締結することにより、使用者が時季を指定して計画的に年次有給休暇を取得させることもできます。
最後に、耳にすることの多い、「年次有給休暇の買取」についてです。年次有給休暇の買取は不可です。例外として、退職者が退職日までに使いきれなかった年次有給休暇について、本人が希望し、使用者が認めた場合には買い取ることは認められます。(ただし、買取の義務はありません。)
