2020年6月にパワハラ防止法が施行されてからパワハラは減ったのでしょうか?数字だけを見ると、むしろ増えているようです。報道によりますと、『日本労働組合総連合会(連合)の「なんでも労働相談ホットライン」に寄せられる「パワハラ・嫌がらせ」の20年6月~21年5月の相談件数は、前年同期比43%増。厚生労働省の統計では、20年度に精神疾患にかかって労災認定を受けた人は前年度比19%増で、(労災の)原因は「上司などからのパワハラ」が最多。「個別労働紛争解決制度」に関する相談のうち「いじめ・嫌がらせ」は10年で2倍以上。』とのこと。
ではそもそもパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)とはどんな法律なのかと言いますと、以下の3つの「パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置」を企業に義務付けた法律です。
1 事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発
2 苦情などに対する相談体制の整備
3 パワハラが発生した場合、再発防止策を講じる等の適切な対応
ではもし違反した場合はどうなるのか、と言いますと、特に罰則はないのですが、違反した事業主は厚生労働省による助言・指導・勧告の対象となります。
同法は、現時点では大企業以外は努力義務ですが、来年の4月からは中小企業も対象になります。ちなみに、同法でいうパワハラの定義は、次の3つです。
①職場の優越的な関係を背景にしている
②業務上の必要な範囲を超えている
③労働者の就業環境が害される