所長のコラム

週休3日制

少し前までは多分にかけ声だおれの感があった週休3日制ですが、ここへきて導入する企業が製造業を中心にじわりじわりと増えてきたようです。つい先日も、資源リサイクルの企業が、「7月から従来の給与のまま週休3日に相当する週32時間勤務を試験的に始めた。」との報道がありました。
ここでのミソは、やはり「従来の給与のまま」というところでしょう。休みを増やし、労働時間を減らした分給与も減るという方法も、もちろんアリです。空いた時間を有効活用すべく副業を緩和・推進して所得が減らないようにすれば、企業の生産制も上がり、従業員の所得も下がらなければ全体としての生産性は上がるわけですから。しかしながら、実際はかなり難しいというのが実情でしょう。急に労働時間が減ると多くの人は時間を持て余してしまい、給料が下がった分今までよりもお金を使えなくなるので、消費も伸びず、結局GDP増には全く寄与しないどころか足をひっぱるのが関の山というわけです。
「多様な働き方の実現応援サイト」(https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/tayou/holiday3.html)という厚生労働省の特設サイトには、制度導入のポイントとして、導入方針の明確化、勤務形態の整備、短時間正社員制度の導入、といった言葉が並んでいます。もちろんこういったことは重要ではありますが、どうしても初めに制度ありきになってしまうように思います。
前述の週休3日制導入企業では、従業員に制度をおしつけるのではなく、「企業と従業員が共に考える」ことに重点をおいているようで、この点は大きなポイントかと思います。
また、労働時間を減らすためには当然ながら業務を見直し、無駄を「減らす・なくす」ということも必要です。ただ、この「減らす・なくす」という試みは最初は無駄を探すのが面白く夢中になったりするのですが、所詮は消去法なので、すぐに行き詰まることが多いので要注意です。業務・作業・会議等の存在意義を根本から洗い直し、それらを再構成するような地道な努力が必要で、まさに「企業と従業員が共に考える」ことで達成し得ると言えましょう。

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